しろくまコラム SHIROKUMA COLUMN
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コラム
冬の塗装はなぜ危険?長野の気象データからわかる“見えない不具合”と寿命短縮のリスク
「冬でも塗装できるって聞いたけど、本当ですか?」
長野のように寒暖差が大きい地域では、毎年必ずこの質問をいただきます。
確かに、冬でも“塗ること”自体は可能です。
しかし、問題は「塗れるかどうか」ではなく、“その塗装が長持ちするか”です。
外壁塗装は、塗ったその日よりも10年、20年後に結果が出る工事。
施工直後は美しくても、見えない内部で化学反応が止まり、密着不良が進行しているケースが少なくありません。
本記事では、長野県東北信地域(長野市・上田市・須坂市など)の実際の気象データをもとに、冬の塗装がなぜ難しく、どのような“後から出る不具合”を引き起こすのかを詳しく解説します。
目次
冬の塗装時間は「1日わずか2時間」。塗っても乾かない現実
長野の冬は、日中でも気温が5℃を超える時間が短い。
以下の表は、12月〜3月の平均気温と施工可能時間の目安です。
| 月 | 平均気温 | 日中「5℃以上」になる時間帯 | 実質施工可能時間 |
|---|---|---|---|
| 12月 | 約0〜2℃ | 11:00〜14:00 | 約2時間 |
| 1月 | 約-1〜0℃ | 11:30〜13:30 | 約1〜2時間 |
| 2月 | 約0〜2℃ | 10:30〜14:30 | 約2〜3時間 |
| 3月 | 約+2〜3℃ | 9:30〜15:30 | 約3〜4時間 |
つまり、冬の職人は1日のうち2時間ほどしか塗れない。
その短い間で「下塗り・中塗り・上塗り」を行うことは、現実的に非常に難しいのです。
見た目は乾いても、内部は固まっていない「硬化不良」
冬の最大のリスクは、塗料の内部が乾かないまま次の層を重ねてしまうことです。
特に水性塗料は凍結・蒸発不良が起こりやすく、表面だけ乾いて中が生乾きという状態になります。
これを「硬化不良」と呼び、次のようなトラブルにつながります。
- 3〜5年後に塗膜が粉をふく(チョーキング)
- 10年以内に艶が消える
- 局部的な剥がれ・膨れ
- 下地との密着不良による層間剥離
しかもこれらは、施工直後には気づきません。
冬の低温で化学反応が止まり、ゆっくりと進むため、
10年、15年後になって初めて差が出てくるのです。
「20年耐久塗料」が「15年で終わる」こともある
たとえば、メーカーが「耐久年数20年」とうたうフッ素塗料。
これは基準温度25℃・湿度50%前後という理想環境で試験されています。
ところが冬の長野では、
- 日中2時間しか塗れない
- 乾燥時間が24時間以上必要
- 夜間は氷点下で塗膜が再吸湿
という条件のもとで施工されると、塗膜性能が80〜90%しか発揮されないことがあります。
つまり、理論上20年もつはずの塗料でも、実際は15年ほどで再塗装が必要になるケースもある。
これが「冬の塗装はやめた方がいい」と言われる最大の理由です。
問題は、5年後や10年後にならないと“失敗に気づけない”という点にあります。
塗り重ね可能時間(リコートタイム)を守れないリスク
塗料メーカーは、それぞれ「次の塗装をするまでの間隔=塗り重ね可能時間」を定めています。
このインターバルを守らないと、塗膜同士が密着せず、数年後、層間で剥がれたり浮いたりする原因になります。
一般的な塗り重ね間隔の目安
| 塗料タイプ | 夏(25℃前後) | 冬(5℃前後) |
|---|---|---|
| 水性シリコン | 2〜6時間 | 16〜24時間以上 |
| フッ素系 | 4〜8時間 | 20〜30時間 |
| 無機塗料 | 6〜12時間 | 24〜36時間 |
冬では、1日で1工程進めることができないことがわかります。
仮に午前11時に下塗りをしても、翌朝までに気温が下がりすぎるため、中塗りを翌日にしても「温度不足で反応が進まない」状態になりやすい。
さらに、塗り重ね間隔を超えてしまうと、今度は密着不良が起こります。
本来は6時間以内に塗るべきところを48時間空けてしまうなど、気温の影響で間隔がバラバラになり、塗膜の一体化が崩れるのです。
見えない不具合が「後年のコスト」に跳ね返る
こうした冬の塗装不良は、施工直後では判断できません。
3年後に部分剥がれ、10年後に全体チョーキング——。
そうして予定より5年早く再塗装が必要になるケースも珍しくありません。
つまり、「冬に工事して安く済んだ」は、
実際には「将来の修繕コストが高くつく」結果を招くことがあるのです。
冬に塗装するなら「工程を数値で管理できる業者」を選ぶ
冬の塗装は、経験や勘ではなくデータと管理が命。
弊社では以下のような工程管理を実施しています。
- 気温・湿度を毎日記録し、塗料の硬化条件を確認
- メーカー仕様書をもとにインターバル管理表を作成
- 下地の含水率を計測し、霜・湿気がないことを確認
- 施工可否を「感覚」ではなく「データ」で判断
それでも条件が整わない場合は、無理に塗らず延期する判断をします。
それが結果的に、お客様の住まいを長持ちさせる最善策だからです。
まとめ・正しく管理されなければならない
冬の塗装は、確かに「できる」。
しかし、同時に「品質を保ちながらできる人は限られている」。
1日2時間しか塗れない環境で、塗料が乾くのを待ち、温度を見極め、工程を分割して進める
それは熟練の職人でなければできない、緻密な仕事です。
冬は塗装の力量がはっきりと出る季節。
同じ塗料を使っても、気象と工程を読み切る人だけが、本来の耐久を引き出せます。



















