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屋根材は毎日、風雨や紫外線にさらされながら私たちの暮らしを守っています。
しかし瓦や金属板のわずかな重なり目、釘穴、強風で舞い上がる雨粒までは完全に防ぎ切れないことをご存じでしょうか。
実際、屋根材がほぼ無傷でも天井にシミが広がる「原因不明の雨漏り」が少なくありません。
鍵を握るのは屋根材の下に隠れた“衣”ルーフィング（下葺き材）です。
ここでは、ルーフィングの役割から劣化サイン、種類の選び方、点検・交換タイミングまでをやさしく解説し、長寿命住宅を実現するヒントをお届けします。

ルーフィングの３大ミッション：二次防水・野地板保護・雨水排出

屋根材をいわば一次防水とするなら、ルーフィングは雨水の“最後の盾”となる二次防水層です。
瓦やスレートの隙間から入り込んだ雨水をシャットアウトし、釘穴から浸透した水分も野地板まで届く前に受け止めます。
さらに表面に流れ込んだ雨水を軒先方向へ導き、排水経路を確保する役割も。
これにより木製の野地板が腐朽するのを防ぎ、構造躯体の耐久性を大幅に引き上げます。
ルーフィングが正しく機能していれば、屋根材に小さな割れやずれが生じても内部に被害が及びにくいのです。

劣化が進むと起こる雨漏りと点検の重要性

ルーフィングはアスファルトや高分子膜で構成されており、風雨・熱・紫外線で徐々に硬化、ひび割れ、縮みが進行します。また台風時の飛来物や施工時のタッカー打ち抜き不良で裂けることも。
破れた箇所は見えないままで雨水の通り道となり、屋根材に異常がなくても天井や壁に染みをつくります。
だからこそ築10年を超えたら定期点検が欠かせません。
屋根上のルーフィングは普段見えないため、雨漏りが起こってからでは大工事になりがち。
早期点検・部分交換で被害を食い止めることが、コスト面でも大きなメリットになります。

主要４タイプのルーフィングを比較

コスト重視であれば従来のアスファルトルーフィング、長寿命や高気密住宅なら透湿タイプ、穴あきリスクを避けたい谷部や緩勾配屋根では粘着層付シートが推奨されます。
屋根形状・地域の気候・将来のメンテナンス計画に合わせて選定しましょう。

築年数別チェックポイントと交換タイミング

築10年～15年：アスファルト系シートは柔軟性を失い始める時期。
屋根材塗装や点検と同時に、棟板金の浮き・釘の抜けを確認し、ルーフィングの重ね目がずれていないか専門業者に調査依頼を。
築20年～25年：小さな破れや縮みが進行しやすく、表面のざらつきが雨水を吸い上げる毛細管現象を起こすことも。
屋根カバー工法を選ぶ場合も、下葺き材ごと交換すると安心です。
築30年以上：野地板の腐敗や垂木の変色が疑われる段階。屋根葺き替え時に高耐候ルーフィングへ全面更新し、通気層や換気棟を併設して躯体寿命を延ばす計画を立てましょう。

正しい施工で防水力を最大化

下葺き材の性能は「施工精度」で決まります。
シートの重ね幅は規定の10～15cmを厳守し、上から下へと順序良く張ることで雨水の逆流を防止。
軒先は水切り金具と気密テープで雨仕舞いを徹底し、谷部や天窓周りは二重張りで補強します。
近年主流の粘着層付タイプはタッカー穴が開かない反面、施工温度が低いと粘着力が落ちるため、メーカー指定温度を守ることが肝心です。
DIYは漏水リスクが高いため、屋根板金技術を持つ専門業者へ依頼しましょう。

ルーフィングを制する事が雨漏りを制すかも

屋根材は「顔」、ルーフィングは「要」。
二次防水層が健全であってこそ、屋根は本来の性能を発揮します。
経年劣化や強風被害、施工不良によってルーフィングが破れれば、屋根材が健在でも雨漏りは発生します。
築年数に応じた点検と適切なシート選び、確かな施工で、家族と住まいを長く守りましょう。