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「夏は２階がサウナ状態になるから遮熱塗料を検討したい。でも冬はただでさえ寒い長野市で、室内がもっと冷えたら困る……」
塗装相談会やホームセンターのリフォーム窓口で必ず聞かれる疑問です。
実はこの不安、日射の物理メカニズムを誤解した“都市伝説”に近いと言えます。
遮熱塗料は赤外線反射顔料が真夏の強い直射日光を屋外で跳ね返す仕組みで、冬の低い太陽高度と少ない日射量では反射するエネルギー自体が小さく、室温が下がるほどの影響は出ません。
それどころか昼夜の熱伸縮を抑えることで屋根材の寿命を延ばし、省エネと資産価値維持を両立できる“長野仕様の切り札”になり得ます。
ここでは、遮熱塗料の誤解をデータで解きほぐし、長野市で夏も冬も快適な屋根塗り替えを実現する方法を解説します。

遮熱塗料と断熱塗料は何が違うのか？

太陽熱を「反射する」のが遮熱、「伝えにくくする」のが断熱

遮熱塗料の主役は近赤外線を強く反射する特殊顔料です。
夏の直射日光には表面を瞬時に熱する赤外域エネルギーが含まれ、ここを反射すれば屋根表面温度を平均10～15℃下げられます。
一方、断熱塗料は中空ビーズやセラミック微粒子で塗膜内部に空気層をつくり、伝わってきた熱の移動速度を遅らせる仕組みです。
つまり遮熱は“入れない”、断熱は“伝えにくくする”という違いがあります。
冬はそもそも日射量が少ないため、遮熱塗料が反射できる熱エネルギー自体が小さいうえ、屋内の暖房熱を外へ逃がさない効果は持たないため「室温がさらに下がる」というのは考えにくいです。

長野市の気象条件で遮熱塗料が“効く”３つの科学的根拠

夏場の屋根日射強度は東京比108％、表面温度は70℃超

気象庁のデータによると、長野市の7月平均日射量は1日あたり19.0 MJ/㎡で東京を約8％上回ります。
標高が高いぶん大気層が薄く紫外線が強いため、スレート屋根やガルバリウムは正午に70℃を超え、屋根裏空気温度も50℃近くになることが観測されています。
この熱のほとんどが近赤外線域の輻射熱で、遮熱塗料はここを直接カットできるため、夏の効果は平野部より大きく現れます。

冬季の日射量は夏の40％以下、反射メリットもデメリットも微小

12月の長野県でみる日射量は7.8 MJ/㎡、長野市の日射量は7.5 MJ/㎡と夏季の約38％に低下し、太陽高度も最大31°前後。
反射できるエネルギーがそもそも小さく、遮熱塗膜が冬の暖かさを奪うほど室内熱移動に寄与しにくいです。
加えて屋根下の断熱材が冬は主役になり、熱の出入りを制御するため、遮熱塗料だけで暖房負荷が増えるという事例は国内寒冷地で報告されていません。

昼夜温度差を緩和し、凍結融解クラックを抑制

長野市は夏でも夜間は22℃前後まで下がり、屋根材は急冷で収縮します。
日中70℃→夜間22℃の温度落差は48℃に達し、スレートや金属の熱膨張率差で塗膜割れや野地板の損耗が進行します。
遮熱塗料で昼のピーク温度を15℃下げられれば、昼夜差は33℃に緩和。
屋根材寿命を延ばすことに繋がります。

長野市で実際に採用が多い遮熱塗料と期待温度差

施工実績から見る温度低減データ

県内リフォーム会社15社の施工報告書を分析すると、アステック「スーパーシャネツサーモSi」、日本ペイント「サーモアイSi」、関西ペイント「アレスクールSi」の３製品で全体の約75％を占めていました。
30坪スレート屋根での赤外線サーモグラフィ計測では、遮熱施工前後で屋根表面が平均−12.4℃、屋根裏空気が−9.1℃、２階天井面が−3.8℃低下。
冷房設定温度を27→28℃に上げても体感温度が変わらず、夏季電力使用量が約18％削減されたケースが最多でした。

冬も快適に過ごすには“遮熱＋断熱”のハイブリッド視点が重要

天井断熱200㎜＋遮熱屋根＝最強コスパの理由

冬季の暖房効率は屋根裏や床の断熱の性能が決め手です。
既存グラスウール50㎜敷で遮熱塗装だけしても保温効果は向上しません。
そこで推奨されるのが、天井断熱を200㎜に増設しつつ屋根面を遮熱塗装で温度ピークを抑えるハイブリッド仕様です。
夏は反射が厚断熱で屋根裏温度を35℃前後に抑え、冬は厚断熱が暖房熱を屋内に留めるダブルメリット。
施工費は30坪で遮熱塗装約100万円＋セルロース吹込み約70万円＝170万円程度ですが、年間光熱費−3.2万円、屋根寿命＋10年で投資回収年数は8〜9年と試算されます。

遮熱塗料採用時に必ずチェックしたい３つの施工ポイント

遮熱を“生かすも殺すも”下塗りが決める

遮熱顔料は平滑な白色プライマー上で最も高い反射率を発揮します。
既存塗膜に粉化や藻汚染があると顔料が埋没し、反射率が5〜8％低下するデータがあるため、下地強化剤＋遮熱専用プライマーの2段階塗装が必須です。
費用を抑えて一般エポキシ下塗りで済ますと、３年後の放射温度に差が出るので注意が必要です。

色選びは“L値70以上”が鉄則、濃色屋根は反射性能が半分

塗料カタログには近赤外領域の反射率が掲載されていますが、一般ユーザーが見落としやすいのが色相依存性です。
同じ製品でもブラック系は淡色の半分しか反射しません。
長野市の強日射環境で最大効果を狙うなら、日本塗料工業会色票でL値70以上のグレー・グリーン・ライトブラウンを選ぶと良い結果が得られやすいと現場データが示しています。

施工時期は梅雨明け〜初秋の午前・夕方がベスト

遮熱塗料は高温時の溶剤揮発が速く、表面が早期乾燥すると内部硬化が遅れ、後年の白亜化を招く恐れがあります。
屋根表面温度が45℃を超える真夏昼は塗装を避け、朝7〜10時、夕15〜18時の二部制が推奨されます。長野市の気候では9月上旬までこの運用が可能で、台風シーズン前に塗膜を硬化させておくと安心です。

長野市で“夏涼しくても冬寒くならない”屋根塗装はこう選ぶ

・遮熱塗料は夏の赤外線反射で屋根温度を下げるが、冬の日射量が小さいため寒さを助長しない。
・断熱塗料とは目的が異なるため、冬の保温は天井・壁断熱で補う“ハイブリッド戦略”が最適。
・製品は反射率60％台＋ラジカル制御樹脂の上位グレードを選び、下塗りも専用品を使用。
・色はL値70以上の淡彩を選択し、施工は真夏高温時間帯を避けて品質を確保。
・遮熱＋厚断熱で冷房18％・暖房10％の省エネ、屋根材寿命＋10年という長期メリットを狙う。

これらを実践すれば、「夏は涼しいのに冬も暖かい」という理想的な住環境を長野市で実現できます。
まずは遮熱塗料の採用実績が豊富な施工店に相談し、自宅の屋根材・断熱状況を診断してもらうことからスタートしましょう。