しろくまコラム SHIROKUMA COLUMN
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コラム
無機塗料のメリット・デメリットとは?「長持ちだけど割れるの?」

高機能塗料ほど値段が跳ね上がって予算オーバー
無機塗料が気になるけど「ひび割れる」「再塗装が大変」と聞いて二の足を踏む。
無機も気になるけど、シリコンでも良さそうだし、うーん気持ちは無機に傾いてんだよなー
そんな塗料選びでの、お悩みはありませんか?
本記事では「無機塗料 メリット デメリット」などの疑問を、施工現場の経験と最新製品情報をもとに丸ごとクリアにします。
読後には、次の外壁リフォームで“後悔しない選択”を自信を持って下せるはずです。
目次
無機塗料ってそもそも何?ガラス質?
外壁塗料の成分は大きく 「樹脂」「顔料」「添加剤」 に分かれ、耐久性を左右するのは樹脂です。
シリコン塗料までが有機樹脂主体なのに対し、無機塗料は石英やセラミックといった鉱物由来の無機成分を樹脂骨格に大量に組み込み、紫外線による分子切断を起こりにくくしたもの。
ガラスで外壁を包むイメージです。
ただし、硬いほど伸縮しにくく、下地の動きに追従できないとひび割れを起こす。
ここが「長く持つのに割れやすい」と言われる理由です。
無機塗料7大メリットを現場目線で深掘り
高い耐久性「理論寿命 25 年とも」
紫外線に切れない Si–O 結合
外壁劣化の9割は紫外線と雨水による樹脂分解です。
無機塗料はガラスと同じ Si–O(シロキサン)結合 が主軸。
炭素鎖が主な有機塗料に比べ、太陽光で切断されにくい結合エネルギーを持ちます。
そのため樹脂のチョーキング(粉化)速度はシリコンの1/3以下。
メーカー公表の期待耐用年数 20~25 年は、促進耐候試験で他塗料の3倍以上の光照射に耐えた実績に基づいています。
色あせ・変色しにくい実例
長野県の標高 1,000 m 地域で 15 年前に施工したダークグリーンの無機ハイブリッド塗膜。
紫外線が強い高地環境でも ΔE 2 以下(肉眼では変化がほぼ分からない色差)を維持。
一般ウレタン塗料なら 8 年で同程度に退色する環境ですから、色保持力は数値で見ても二倍近い差が出ます。
汚れにくくセルフクリーニング──“雨で洗う外壁”のしくみ
親水性と静電気抑制のダブル効果
無機塗膜は表面エネルギーが高く、水滴が広がりやすい 親水性 を持ちます。
雨水が薄い膜状になって汚れの下に入り込み、重力で流す「セルフクリーニング」作用が働くため、排ガス汚れや黄砂が付きにくいのが特徴。
さらに樹脂量が少ないことで静電気を帯びづらく、ホコリ自体を呼び込みにくい環境を作ります。
メンテナンス頻度とコストの比較
塗料種別 | 年間洗浄回数(目安) | 15 年間想定洗浄コスト* |
---|---|---|
無機塗料 | 1 回 | 約 3 万円 |
シリコン | 3 回 | 約 9 万円 |
ウレタン | 4 回 | 約 12 万円 |
高圧洗浄と足場なしの一般住宅を想定。
セルフクリーニング効果により、同じ美観を保つための清掃費が 1/3 以下になる試算です。
不燃性で火災リスクを抑制
ガラス化した塗膜は延焼をブロック
住宅火災では外壁から屋根裏へ炎が回るケースが多発します。
無機塗料の主成分シリカは 1,000 ℃ でも形状を保ちやすく、外壁表面の炭化を遅延。
実際、準不燃材料認定を取得した無機系トップコートでは、バーナー燃焼実験で 20 分間の連続炎に曝しても裏面温度上昇が 120 ℃ 以下に抑えられた例があります。
無機塗料6大デメリットを包み隠さず解説
価格が高い──初期費用はシリコンの 1.5~2 倍
実勢単価とライフサイクルコスト試算
塗料種別 | ㎡単価(材料+施工) | 期待耐用年数 | 15 年分の総額* |
---|---|---|---|
無機 | 4,500~5,500 円 | 20 年 | 約 4.7 万円 |
シリコン | 3,000~3,500 円 | 12 年 | 約 5.8 万円 |
ウレタン | 2,500~3,000 円 | 8 年 | 約 6.9 万円 |
*外壁 1 ㎡ 当たりの累計。
再塗装時の物価上昇は考慮せず。
初期投資は高いものの、耐用年数が延びる分トータルでは安くなる結論が多いのですが、築浅で売却予定があるなら投資回収前に手放すリスクも考慮が必要です。
ひび割れやすい──硬い塗膜の宿命
外壁の動きに追随できずクラック発生
無機塗料は樹脂分が少ない分、弾性値が高く曲げ伸びに弱い性質があります。
モルタル壁やサイディングのジョイント部が温度収縮で動くと、塗膜が先にパリッと割れる「微細なクラック」を生むリスク。対策としては
- 無機ハイブリッド塗料(弾性 200%前後)を選ぶ
- 既存クラックへ弾性フィラーを充填
- シーリング材上を厚塗りしすぎない
など複合的な施工管理が必須です。
再塗装が難しい──密着性の“良さ”が裏目
親水表面はプライマーなしで弾かれる
無機塗料は汚れが付きにくい反面、次回塗装時はプライマーが滑って密着しにくいという矛盾を抱えます。
高圧洗浄と目荒らし研磨後に「弱溶剤形エポキシプライマー」を刷り込むのが定石ですが、研磨不足のまま水性塗料を重ねた結果、2年でベロッと剥がれた事例も。
再塗装費用が余計にかかる点は計画に入れておきましょう。
施工難易度が高い──職人の腕が結果を左右
塗布量・希釈率・乾燥時間のミスは即トラブル
無機塗料は粘度が高く、温度管理がシビア。規定より希釈を増やすと硬化不良、ムラ塗りすると光沢差や白濁を起こすなど“ごまかしが効きにくい”特徴があります。
施工実績を示せる業者を選ばないと、素材のポテンシャルを発揮できません。
ツヤ消しが難しい──マット外壁派は要注意
光沢剤が無機粒子と一体化
一般的な無機塗料はガラス質粒子の反射で自動的に3~5分ツヤが出ます。
全消し(0分ツヤ)にすると塗膜構造が崩れやすく耐候性が落ちるため、メーカーがラインナップ自体を用意していないケースが大半。
落ち着いたマット外壁を望む場合はシリコンの全ツヤ消し or 無機ハイブリッドの3分ツヤで妥協点を探す必要があります。
一部下地で密着不良──難付着サイディング問題
工場コーティングとの化学相性
親水コーティングが焼き付けられた難付着サイディングでは、無機塗膜が弾かれてピンホール状の剥がれが点在する事例が報告されています。
対応策は
- 150 番手程度で研磨し表面を粗し、
- 難付着専用プライマーを含浸、
- 塗装前にクロスカット試験で付着を数値化。
手間が増え工期も伸びるため、見積書に「難付着対策一式」が明記されているか必ず確認しましょう。
【早見表】無機 vs 他塗料──総合力を比較
評価軸 | 無機塗料 | フッ素塗料 | シリコン塗料 | ウレタン塗料 |
---|---|---|---|---|
耐用年数 | ★★★★★ (20 年) | ★★★★☆ (15 年) | ★★★☆☆ (12 年) | ★★☆☆☆ (8 年) |
防汚・セルフクリン | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
価格(㎡) | 4,500円~ | 3,800円~ | 3,200円~ | 2,700円~ |
再塗装しやすさ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
ひび割れ耐性 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
マット仕上げ適性 | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ |
施工トラブルを防ぐ6つのチェックリスト
- 下地診断:水分計で含水率 15 %以下を確認。
- クラック補修:弾性フィラーで 0.3 mm 以上を完全充填。
- プライマー選定:下地と無機塗装面の両方に対応した製品を選ぶ。
- 塗布量管理:メーカー推奨 0.12 kg/㎡×2回を厳守。
- 乾燥インターバル:気温 23 ℃で4時間以上、低温時は倍に。
- 付着試験:クロスカット+テープ剥離で 95 %以上の残存を確認。
“硬くて長持ち”を活かすも殺すも選び方次第
無機塗料は 「ガラスの鎧」 に例えられるほど耐候性が高く、美観維持コストを劇的に下げる武器になる一方、
- 価格が高い
- ひび割れやすい
- 再塗装が難しい
という弱点を併せ持ちます。ポイントは
- 弾性ハイブリッド型 を選び、下地の動きへの追従性を確保。
- 実績豊富な施工店 と組み、研磨・プライマー・塗布量管理を徹底。
- 売却計画や意匠性も含め ライフプラン全体 で費用対効果を判断。
この3ステップさえ押さえれば、「長寿命だから結局お得」という無機塗料の真価を存分に味わえます。
次回の外壁リフォームでは、一歩踏み込んだ知識を武器に、あなたの住まいを錆びない美術品のように輝かせてみませんか?