しろくまコラム SHIROKUMA COLUMN
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コラム
外壁の凍害とは?原因・症状・修理方法・予防策まで徹底解説
冬になると「外壁が剥がれてきた」「表面が白く浮いている」そんな症状に気づくことはありませんか。
実はそれ、外壁の凍害(とうがい)が進行しているサインかもしれません。
凍害は寒冷地や寒暖差の大きい地域に多く見られ、見た目の問題にとどまらず、建物の内部構造を傷める深刻な劣化現象です。
長野県や東北地方のように冬場の冷え込みが厳しい地域では、凍害をいかに防ぐかが建物の寿命を左右します。
この記事では、外壁の凍害が起こる仕組みから具体的な症状、修理方法、そして再発を防ぐための対策までを、専門的な視点でわかりやすく解説します。
目次
外壁の凍害とはどんな現象か
外壁の凍害とは、外壁材に侵入した水分が凍結と融解を繰り返すことで、内部から外壁を破壊していく劣化現象のことです。
0℃を下回る環境で吸い込んだ水分が氷になると、体積が約9%膨張します。この膨張圧が外壁材を内側から押し広げ、ひび割れや剥離、爆裂を引き起こします。
一度発生すると季節を重ねるごとに被害は拡大し、モルタル壁や窯業系サイディングなどの素材では特に顕著です。
外壁表面だけでなく、下地や構造体にまでダメージが及ぶため、早期発見と対処が非常に重要です。
凍害が発生する主な原因
凍害の原因は単に「寒さ」だけではありません。
建物の構造・立地条件・メンテナンス不足など、いくつかの要素が複雑に関係しています。
1. 凍結と融解の繰り返しによる内部破壊
気温が0℃以下になると、外壁に吸収された水分が凍結します。氷になると体積が増えるため、外壁材の内部に圧力がかかります。
日中の温度上昇で氷が溶け、また夜に凍る──このサイクルを繰り返すことで、外壁の内部構造が徐々に押し広げられ、ひび割れや剥離が生じます。
この現象は「凍結融解作用」と呼ばれ、寒冷地では冬季に何度も起こるため、短期間で劣化が進みやすいのです。
2. 外壁材の吸水と防水性能の低下
外壁塗膜は本来、防水の役割を果たしています。
しかし、経年劣化によって塗膜が剥がれたり、微細なひび割れが生じたりすると、水が内部に浸入しやすくなるのです。
特にモルタルやサイディングは多孔質素材で、水を吸いやすい性質があります。
そのため、塗装の劣化を放置すると、雨水や結露が染み込み、凍結のリスクが一気に高まります。
3. 湿気がこもりやすい場所の環境要因
浴室や台所などの水回りに面した壁や、風通しの悪い北側の外壁は、内部結露や湿気が溜まりやすい場所です。
水分が抜けにくいため、凍害が発生しやすく、放置するとカビや藻の繁殖にもつながります。
また、建物の角や陰になる部分は、太陽光による乾燥が不十分で常に湿気を含みやすいため、被害が集中しやすい傾向にあります。
4. 施工不良による構造的な問題
外壁のつなぎ目であるコーキング(シーリング)材の劣化や、サイディングの直貼り工法による通気不足も凍害の原因です。
コーキングが切れていると水が簡単に侵入し、直貼りの場合は水分が逃げ場を失って内部に滞留します。
こうした施工上の問題があると、塗装のメンテナンスだけでは再発を防げません。
凍害の主な症状と見分け方
凍害は進行段階によって外観が変化します。
初期段階では軽いひび割れやチョーキングから始まり、やがて塗膜の剥がれ、爆裂、欠損へと悪化します。
| 症状 | 状態の説明 | 放置リスク |
|---|---|---|
| ひび割れ(クラック) | 細い線状の割れ目が現れる。 | 水分が侵入し、内部腐食が進行。 |
| 塗装の剥がれ | 表面の塗膜が浮いて剥がれ落ちる。 | 外壁材の吸水率が上昇し、再凍結の危険。 |
| 爆裂・欠損 | 外壁材の一部が膨張・剥落し、欠けや穴ができる。 | 下地が露出し、雨漏り・腐食のリスク増大。 |
| チョーキング | 手で触ると白い粉が付く。塗膜劣化の初期サイン。 | 防水性が失われ、吸水・凍結の始まり。 |
初期の段階で気づければ補修で済みますが、進行すると張り替えレベルの工事が必要になるため、早期対応が重要です。
凍害を放置するとどうなるか
凍害を放置してしまうと、外壁だけでなく建物全体に影響が広がります。
まず、ひび割れ部分から雨水が浸入し、内部の断熱材や木材を腐食させます。
その結果、雨漏りやシロアリ被害に発展するケースも少なくありません。
また、外壁が爆裂・欠損して落下する危険もあり、通行人や車への被害が出ることもあります。
見た目の悪化だけでなく、安全性や資産価値の低下にもつながるため、放置は絶対に禁物です。
凍害の修理・補修方法
凍害の症状によって、修理方法は軽度と重度で大きく異なります。
被害の程度を正しく判断し、適切な施工を行うことが重要です。
軽度な場合(ひび割れ・塗膜の剥がれ)
・ひび割れ補修:専用の弾性補修材でクラックを埋め、防水性を回復させます。
・再塗装:高圧洗浄で汚れや劣化した塗膜を除去した後、下地処理を行い、耐水性の高い塗料で再塗装します。
軽度な凍害は早期の塗り替えで防げることが多く、工期も短く費用も比較的安価です。
重度な場合(爆裂・欠損・広範囲劣化)
・部分補修:傷んだ外壁部分を削り取り、新しい補修材を塗り込んで成形します。
・重ね張り(カバー工法):既存外壁の上から新しい外壁材を重ねる方法。断熱・防水性能も向上します。
・全面張り替え:内部まで損傷している場合は、外壁材自体を新しいものに交換します。
重度の凍害では、外壁リフォームとしての施工が必要になることもあります。
費用は高くなりますが、耐久性を一新でき、見た目も大きく改善します。
凍害を防ぐための予防策
凍害は「寒い地域だから仕方ない」ものではありません。
適切なメンテナンスと設計で、被害を最小限に抑えることができます。
1. 定期的な点検と塗り替え
塗膜のひび割れやチョーキングを見つけたら、早めの塗り替えを検討しましょう。
塗料の防水性能が落ちると吸水が始まり、凍害の第一歩になります。
10年を目安に点検・塗り替えを行うことで、凍害リスクを大幅に減らせます。
2. 凍害に強い外壁材を選ぶ
外壁材の種類によって、凍害への強さは異なります。
| 外壁材の種類 | 凍害への耐性 | 特徴 |
|---|---|---|
| モルタル壁 | 弱い | 吸水しやすく、ひび割れしやすい。 |
| 窯業系サイディング | 中程度 | 吸水に注意。防水塗装が重要。 |
| 金属サイディング | 強い | 水を吸わず、寒冷地でも安定。 |
| 樹脂サイディング | 強い | 柔軟性があり、凍結の影響を受けにくい。 |
特に金属サイディングは軽量で吸水しにくく、寒冷地住宅では人気の選択肢です。
3. 通気工法へのリフォーム
直貼り工法では外壁の裏に空気の通り道がなく、水分が溜まりやすくなります。
これを防ぐには、外壁と下地の間に通気層を設ける「通気工法」へのリフォームが効果的です。
湿気が抜けやすくなり、凍害やカビの発生を防ぎます。
4. 排水環境の整備
雨樋や排水口が詰まっていると、水が外壁を伝って流れ落ち、吸水を助長します。
定期的に清掃し、外壁に余分な水分がかからない環境を整えることも、凍害対策の一つです。
凍害が発生しているかもしれないときの対応
もし外壁にひび割れや剥がれを見つけたら、自分で判断せず専門業者に診断を依頼しましょう。
外見上は軽度でも、内部ではすでに凍害が進行しているケースが多く見られます。
診断では、外壁の含水率や下地の状態を確認し、再塗装で済むのか、張り替えが必要なのかを判断します。
信頼できる業者を選ぶことで、無駄な費用をかけずに的確な修繕が可能です。
まとめ:外壁の凍害は「早めの気づき」と「確実な対処」で防げる
外壁の凍害は、寒冷地で避けられない問題のように見えますが、実際には定期的な点検と正しい施工で大半を防ぐことができます。
ひび割れやチョーキングを放置せず、早めに対処することで、建物を長持ちさせることができるのです。
弊社では、寒冷地特有の気候条件を熟知した職人が、凍害対策に適した塗料選びと施工を行っています。
外壁の状態を的確に診断し、「守る塗装」から「育てる塗装」へ
そんな思いで、一軒一軒に最適なご提案をいたします。
外壁の剥がれやひび割れが気になる方は、どうか一度ご相談ください。
あなたの大切な住まいを、もう一度冬に負けない強さへとよみがえらせます。



















