しろくまコラム SHIROKUMA COLUMN
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コラム
フェンスが雪で壊れる原因と対策|沈降力の仕組みと予防方法を徹底解説
冬になると、静かに積もっていた雪が思わぬトラブルを引き起こします。
「昨日まで何ともなかったフェンスが、朝起きたら曲がっていた」
「大雪のあと、フェンスの支柱が根元から折れていた」そんな経験はありませんか?
実は、フェンスが壊れる原因の多くは「雪の重み」そのものではなく、雪が溶け始めるときに発生する“沈降力(ちんこうりょく)”にあります。
この沈降力は、じわじわとフェンスに負荷をかけ、やがて押し倒すほどの力に変わります。
この記事では、雪によってフェンスが壊れる仕組み・防止策・補修や保険対応まで、現場経験をもとに分かりやすく解説します。
「もう壊れないようにするにはどうすればいいのか?」と悩む方に、今すぐ実践できる対策をお伝えします。
目次
フェンスが雪で壊れる原因は「沈降力」にある
見た目には静かに積もっている雪。
しかし、気温が上がり始めると雪の内部では目に見えない変化が起きています。
それが「沈降力」という現象です。
沈降力とは?
沈降力とは、雪が溶ける際に下方向へと沈み込みながら、接している構造物(フェンスなど)を押し潰す力のことです。
特にフェンスの上部に雪が「布団をかぶせたように」積もると、雪の重さが一点に集中し、支柱や上桟(じょうさん)に強烈な荷重をかけます。
初めはわずかなたわみでも、日中の気温上昇と夜間の冷え込みを繰り返すうちに、金属が歪み、プラスチックが割れ、支柱が根元から曲がるといった破損につながります。
フェンス破損の典型的なパターン
| 原因 | 状況 | 破損の特徴 |
|---|---|---|
| 沈降力(雪の荷重) | フェンス上部に雪が積もり、溶けて沈む | 上部が内側に倒れる・支柱が曲がる |
| 除雪時の接触 | 雪かき中にスコップや除雪機がぶつかる | 下部パネルの割れ・支柱根元の変形 |
| 融雪時の氷塊落下 | 屋根などから落雪 | パネル割れ・一部破断 |
| 凍結による膨張 | 水分が支柱内部に入り凍る | 支柱のひび割れや破裂 |
フェンスが壊れる多くの原因は、一気に起こる事故ではなく、少しずつの負荷が積み重なって起こるものです。
雪がフェンスを壊すまでの流れをイメージで理解する
フェンスが雪で壊れるメカニズムは、実際に「何が起きているのか」をイメージすると分かりやすいです。
- 積雪時:フェンスの上に雪がふんわりと積もる。
- 気温上昇:雪がゆっくりと溶け始め、内部の重さが変化。
- 雪の沈み込み:フェンス上に積もった雪が自重で沈み、上桟を押す。
- 支柱に伝達:押された力がフェンス全体に伝わり、徐々に変形。
- 最終的に破損:金属疲労や樹脂の劣化で支柱が折れる。
特に「雪解けの時期」にフェンスが壊れるケースが多いのは、この沈降力が最も強く働くためです。
見た目では雪が軽くなったように見えても、内部では溶けた水分が重くなり、局所的に数百キロの力がかかることもあります。
フェンスを雪から守るための効果的な対策
「壊れてから修理」ではなく、「壊れる前に防ぐ」ことが何より大切です。
ここでは、現場で実践されている沈降力対策の具体例を紹介します。
雪解け前に除雪して“溝”を作る
フェンスが壊れる多くの原因は、雪とフェンスが密着したまま溶けることにあります。
雪が沈むと同時にフェンスを押してしまうため、フェンス上部と周囲の雪の間に“空間(溝)”を作ることが重要です。
たとえば、スコップでフェンス沿いを幅20〜30cmほど軽く掘り下げるだけでも効果があります。
これにより雪が沈んでもフェンスに直接力が伝わりにくくなり、押し壊されるリスクを大幅に減らせます。
フェンス周辺の定期的な雪下ろし
雪解け前だけでなく、降雪中から小まめにフェンス周辺を除雪しておくことも効果的です。
特に、風で吹き寄せられやすい角地や狭い通路などでは、想定以上に雪が積もりやすいため注意が必要です。
雪の重みが集中すると、金属フェンスでも徐々に湾曲します。
1〜2回の軽い除雪が、春先の大きな修理費用を防ぐ結果につながります。
フェンス素材と構造による耐雪性の違い
フェンスには多くの種類がありますが、素材によって雪への耐性が異なります。
下の表で比較してみましょう。
| フェンスの種類 | 素材 | 耐雪性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アルミフェンス | アルミ合金 | 中 | 軽くて錆びにくいが変形しやすい |
| スチールフェンス | 鉄製(メッキ塗装) | 高 | 強度が高く積雪地向け |
| 樹脂フェンス | PVC・FRPなど | 低 | デザイン性は高いが割れやすい |
| 木製フェンス | 天然木・人工木 | 中 | 雪解け水で腐食しやすい |
雪の多い地域では、スチールフェンスや頑丈な支柱付きアルミ製を選ぶと安心です。
ただし、どの素材でも「雪が直接当たらないようにする工夫」が必要になります。
日常点検でフェンスの寿命を延ばす
大雪だけでなく、小さな変形も放置すればフェンス全体に歪みが広がり、
「次の冬には壊れる」状態になってしまうことがあります。
点検のポイント
- 支柱がまっすぐ立っているか
- 上桟や中桟が曲がっていないか
- ボルトやナットが緩んでいないか
- 土台部分が凍結や腐食で浮いていないか
これらの点を年に1〜2回、雪解け後に確認しましょう。
少しの曲がりなら修正や補強で済む場合もあり、早期対応が結果的にコストを抑えることにつながります。
もしフェンスが雪で壊れたら?修理と保険対応の流れ
フェンスが雪で壊れた場合、**火災保険の「雪災補償」**で修理費用がカバーされる可能性があります。
特に一戸建てやアパートの敷地フェンスは、建物の一部として補償対象となることが多いです。
修理・保険対応の手順
- 被害状況を撮影(写真・動画)
雪が溶ける前に、壊れた部分をさまざまな角度から記録します。 - 専門業者に見積もり依頼
修理費用の見積書を保険会社に提出します。 - 保険会社へ連絡・申請
「雪災補償」項目があるか確認し、必要書類を提出します。 - 修理・交換工事
金属フェンスなら部分交換、樹脂製なら全体交換が一般的です。
火災保険を利用することで、自己負担を最小限に抑えて修繕できる可能性があります。
ただし、経年劣化や放置による破損は補償対象外となるため、早めの対応がポイントです。
雪に強いフェンス環境をつくるリフォーム提案
もし毎年のように雪でフェンスが壊れる場合は、設置位置や構造を見直すリフォームも検討しましょう。
たとえば、
- 屋根の落雪方向を変える
- フェンスの設置位置を1m後退させる
- 支柱間隔を短くして強度を上げる
- 下部をブロック塀に変更する
といった工夫で、雪の影響を大幅に軽減できます。
弊社では、雪国特有の地形や風向きを考慮しながら、**「壊れにくく長持ちするフェンス設計」**をご提案しています。
まとめ:フェンスを守るのは「雪が溶ける前のひと手間」
フェンスは壊れてから修理するよりも、壊れる前の一手間が何より重要です。
雪が積もった直後ではなく、「溶け始める前」に除雪してあげるだけで、被害の多くは防げます。
沈降力は目に見えない脅威ですが、知っていれば怖くありません。
適切な除雪・点検・素材選びで、あなたの家のフェンスを何年も守ることができます。
もしすでにフェンスが歪んでいたり、何度も壊れて困っている場合は、ぜひ一度ご相談ください。
地域の積雪環境を熟知した専門スタッフが、「もう壊れないフェンスづくり」をお手伝いします。
安心して冬を迎えられる環境づくりは、今からでも遅くありません。



















